2014/11/3 長谷川の教育論[6]

 「成長」とは何か。それは「できなかったことができるようになること」である。例えば「背が伸びる」という成長現象がある。それは「届かなかった場所に手が届くようになること」と定義することができる。できなかった「逆上がり」ができるようになるのも成長である。もちろん、解けなかった問題が解けるようになるのも成長だ。こうしてみると、子どもは毎日が成長過程である。
 精神的成長も見逃してはならない。言えなかった「ありがとう」「ごめんなさい」が言えるようになる。許せなかった友人のミスを許せるようになる。できなかった挨拶ができるようになる…すべて成長のベンチマークである。我々大人は、子どものそうした成長の痕跡を見逃してはいけない。発見するたびに承認する必要がある。自分の成長を周りに認められたとき、子どもは次の成長に向けたモチベーションを得る。
 我々大人は、とかく「当たり前」と評価しがちだ。「こんなことは出来て当たり前、できなかった今までがどうかしている」と。これでは子どもは救われない。ひとりの人間としての「成長」を無視した評価である。
 子どもの成長過程は人それぞれである。他人との表面的差異を測るのは大人になってからでよい。今は、「昨日の自分」との比較で成長を見つけてあげることだ。そして、見つかった時にすかさず承認することだ。
 塾の現場には様々な生徒が存在する。ましてや自塾のような個別指導塾には、成績上位者から不振者までが集う。そうした時、他者と比べた評価をしてしまうと子どもは委縮し、成長への意欲を失う。我々指導者が厳に慎まなければならないことだ。そうではなく、「先週はできなかったのに、今日はできるようになったね」と、その生徒なりの成長を承認するように心掛けている。
 私は常に生徒に言う。「本当のライバルは昨日の自分だ」と